2024年9月28日土曜日

北海道のアイヌ語地名 (1172) 「カルシナイ川・御音内」

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

カルシナイ川

ku-kar-us-nay?
弓・つくる・いつもする・川
(? = 記録はあるが疑問点あり、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
道東自動車道・浦幌 IC の東に「オーラポロ橋」という橋がありますが、オーラポロ橋の下を「カルシナイ川」が流れています。

北海道実測切図』(1895 頃) では該当する川が見当たらないのですが、川の流れる向きから考えると「ヌプリケソマナイ」が現在の「カルシナイ川」に相当する可能性がありそうです。nupuri-kes-oma-nay で「山・末端・そこにある・川」と読めそうでしょうか。

『北海道実測切図』ではごく短い川として描かれていて、代わりに南隣の「オン子ナイ」(=浦幌オンネナイ川)が実際よりも長く描かれています。「実測」とは言うもののこの程度の誤りはちょくちょく見られるので、注意が必要ですね。

また『北海道実測切図』では、現在「ミフネの沢川」とされる川の位置に「コカルシナイ」と描かれていました。どうやらこれが「カルシナイ川」の元ネタ?のような感じですね。

ko-kar-us-nay で「粉・つくる・いつもする・川」と読めなくもないですが、おそらく ku-kar-us-nay で「弓・つくる・いつもする・川」ではないでしょうか。弓の原材料となる樹木が豊富な川だったのかもしれません。

どこかのタイミングで「ク」が「コ」と転訛、あるいは誤記されて、「コカルシナイ」では意味が通じないということで頭の「コ」が削られた……とかでしょうか。

御音内(おんねない)

onne-nay
老いた・川
(記録あり、類型多数)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
問題の(?)「ミフネの沢川」を遡った先にある、標高 485.9 m の三等三角点の名前です。「カルシナイ川」の南を流れる「浦幌オンネナイ川」とはおそらく無関係で、「御音内」三角点の東を流れる「エキテイ川」との関係が疑われます。

「北海道実測地図」では、現在の「エキテイ川」に相当する位置に「オン子ナイ」と描かれていました。onne-nay は「老いた・川」で、河川の場合は「長い川」のほか、「支流(=子)の多い川」も onne-nay と呼ばれたようです。

「エキテイ川」は、浦幌川源流域の支流の中では長い川で、水源は道東道の「新釧勝トンネル」の近くまで遡ることができます。onne-nay と呼ばれても不思議はない川だと言えそうです。

前の記事

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International


0 件のコメント:

コメントを投稿