2023年12月6日水曜日

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春の道東・船と鉄路とバスの旅 2017 (155) 「十勝の開拓と晩成社」

 

「緑ヶ丘公園」にある「帯広百年記念館」にやってきました。
【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 5 月時点のものです。各種サービスの実施状況や利用時間などが現在と異なる可能性があります。

こちらの立て看板には「帯広百年記念館 ロビーコンサート」とありますが、これはコンサートの案内ではなく「ロビー展」や各種イベントの案内のようです。よく見るとテープの糊の跡なども見えていて、かなり年季が入っていることがわかります。
ところで、もうひとつの立て看板なんですが、こ、これは……。これって「ゲバ字」ってヤツですよね?
「八十路を往く Going My Way」というのも気になりますが、21 世紀の今、あえてゲバ字というのは確かに「アート」ですよね……。しかもよく見ると既存の立て看板の上にパネルを貼り付けただけのもので、これは完成度高ぇなオイと言わしめるものです。

お買い得感たっぷり

「帯広百年記念館」の館内に入りました。入口ロビーの向かって右側に「常設展示室」があります。
常設展示室の観覧は有料ですが、2023 年時点で大人 380 円とリーズナブルな価格設定です。http://museum-obihiro.jp/occm/?page_id=316 によると「通年利用券」も 700 円で販売しているとのことで、お買い得感が凄いですね。

岐阜県、広い……

観覧券を購入して常設展示室の中に入りました。入口ではダイナミックなポーズでインパクトたっぷりなマンモスがお出迎えです。よく見るとマンモスの横に谷地坊主がいるような……?
これは十勝エリアを境界線で囲った北海道の衛星写真ですが、こうやって見てみると……なかなかの広さですね。面積は岐阜県に匹敵するとのことですが、岐阜県、広いんですね……(そこか)。

地図で見る十勝の移り変わり

「帯広百年記念館」と言うくらいですから、やはり開拓の歴史は外せない……ということか、「地図で見る十勝の移り変わり」というパネルがありました。
上半分は古地図です。左が「北海道国郡全図」で、右がおなじみの「東西蝦夷山川地理取調図」(1859) ですね。
下半分は「十勝市町村沿革図」ですが、戦前の十勝を見てみると……帯広市、めちゃくちゃ小さい……(汗)。
帯広市は後の 1957(昭和 32)年に川西村大正村と合併して面積が 619.34 km2 になったものの、旧・川西村が 444.38 km2、旧・大正村が 122.86 km2 だったらしいので、1957(昭和 32)年以前は 52.10 km2 しか無かった……ということでしょうか?

十勝の開拓と晩成社

さてさて。「十勝の開拓」と言えば「晩成社」ですが、常設展示の中でも大きく取り上げられていました。
晩成社のキーパーソンの三人、左から「鈴木銃太郎」「渡辺勝」「依田勉三」の写真です。依田勉三、めちゃくちゃ真顔ですね……。
依田勉三は伊豆の豪農の三男だったようで、確かに「恵まれた環境」にあったと言えそうですね。28 歳の時に単身で北海道を視察し、翌年に「晩成社」のリーダーとして十勝に入植します。
「多くの厳しい批判や度重なる失敗にもくじけず」とあるのが気になるところですが、このポスターを見ると……
グラフには「晩成社の開墾計画と実績」とありますが、これは……かなり厳しいですね。まぁこの手の開墾が予定通りに進むことは滅多に無いと思われますが、この計画はどういった目論見で立てたものだったのでしょう……?
可能性は二つ、あるいは三つあると思っていて、一つは「これくらい行けるだろう」という根拠のない思い込みで、もう一つは出資者向けに計画を粉飾していた可能性です。出資者を欺くのではなく、この程度の目標を建てないと損益分岐点が見えなかった……という可能性もあるかもしれません。

晩成社の終幕

豪農の三男坊だった依田勉三には、やはり見積の甘いところがあったのか、やがて「晩成社」は破綻することになります。
「晩成社」は完全な大失敗に終わったわけですが、面白いことに依田勉三が「ここを開拓地とする!」として切り拓いた下帯広村はその後どんどん発展し、名実ともに十勝の中心都市となって現在に至ります。

また十勝エリアは道内でも有数の「農業王国」に変貌したわけですが、「大失敗した開拓者」だった依田勉三と晩成社が今でも敬愛されるのは、「晩成社の屍の上に今の十勝がある」と捉える人が多い……ということなのでしょうね。
「マルセイバターのレッテル」も展示されていました。今では「マルセイバターサンド」のパッケージとして広く知られているものです。

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