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駅舎と小屋らしき建物が見えます。どちらも木造でかなり年季の入ったものですが、朽ちたり壊れたりと言った風には見えません。しっかりと手入れされている、ということでしょうか……?
奥行臼駅は 1933(昭和 8)年 12 月に標津線の厚床-西別(後の別海)間が開通した際に開業し、1989(平成元)年 4 月の標津線廃線に伴い廃止されました。
駅としての稼働期間は 56 年弱で、2017 年の時点で廃止後 28 年が経過していたことになりますね。
駅舎の入口横には「別海町指定文化財 奥行臼駅公開のきまり」と題された看板が設置されていました。これも随分とピッカピカな感じで好感が持てますね(ピッカピカなのは、ちゃんと手入れされているということだと思うので)。
別海町指定文化財 奥行臼駅
建物の横にも別海町教育委員会が設置した案内板が立っていました。こちらは 1992(平成 4) 年 8 月に設置されたものなので、多少の劣化が見られるものの、判読には問題なさそうな感じですね。
なかなかの名文なので一部を引用しますが……
本駅舎は昭和初期の建築様式の原型を留め、本町に五ケ所を数えた駅の中で現存する唯一のもので、本町開拓の足跡を残す歴史的建造物として、文化財の価値を十分有するので関連施設を含めて町指定文化財に指定するものである。
(別海町教育委員会「別海町指定文化財 奥行臼駅」案内板より引用)
ん……? JR 標津線が全線廃止されたタイミングで別海町には 8 つの駅がありましたが、ちょいと表にまとめてみると……泉川駅 | 泉川仮信号場(1944) | 泉川駅(1952) |
---|---|---|
光進駅 | 光進仮乗降場(1962) | 光進駅(1967) |
西春別駅 | 西春別駅(1936) | |
上春別駅 | 上春別駅(1963) | |
春別駅 | 春別駅(1934) | |
平糸駅 | 平糸仮乗降場(1961) | 平糸駅(1967) |
別海駅 | 西別駅(1933) | 別海駅(1976) |
奥行臼駅 | 奥行臼駅(1933) |
1967 年の時点で 2 つ存在していた仮乗降場がどちらも駅に昇格していて、国鉄時代に既に駅が 8 つあったことになります。国鉄時代の仮乗降場は JR 北海道の発足時に駅に昇格するケースが多かったのですが、別海町内には JR 北海道が発足した時点で既に仮乗降場が存在していなかった、ということになりますね。
どうやら「五ケ所を数えた駅」というのは、仮信号場・仮乗降場あがりの「泉川駅」「光進駅」「平糸駅」を除外したものだったみたいです。
まだ続きがありまして……
駅構内の貨物引込線は昭和四十九年九月に廃止となり撤去されていたものを平成三年十一月に復元、又共同風呂は春別駅で使用されていたのであるが、平成三年九月に移設し、平成四年八月に現在地に復元をしたものである。
(別海町教育委員会「別海町指定文化財 奥行臼駅」案内板より引用)
なんと「共同風呂」があったとは……!謎の転轍機
駅舎の横には小屋があり、その手前には転轍機(ポイント)のレバーがあります。本来、この羽根は運転士から見える位置にある筈だと思うのですが、これも移設したものなんでしょうか……?これは小屋と言うよりは倉庫と言うべきだったでしょうか。一見、木造に見えますが、フレーム部は廃レールを使っていて、かなり頑丈な構造に見えます。ゴーストもいい感じですね……(ぜんぶ逆光のせいだ)。
倉庫?の隣にも建物があります。小屋と呼ぶにはちょいと大きいのですが、これは何なんでしょう……?
副本線ではなく貨物引き込み線
駅舎と線路とホームが見えます。ホームの擁壁の構造がちょっと変わっているのですが、目の前に見えている線路は 1974(昭和 49)年 9 月に廃止・撤去された貨物引き込み線で、奥行臼駅の旅客用ホームは 1 面 1 線だったとのこと。奥行臼駅の配線は一線スルー型で、待避線(実は貨物引き込み線だった)と本線の接続部に安全側線が無いなど、奇妙だなぁ……と思っていたのですが、貨物引き込み線だと聞いて疑問は氷解しました(ホーム擁壁があり得ない形をしているのも含めて)。
まぁ貨物引き込み線が駅の南北で本線と接続していて、しかも駅舎とホームの間を通っているというのは、それはそれでかなりユニークですよね。
時間が止まったまま?
駅舎はりっぱな軒のあるものです(待合室代わり?)。さすがに柱の下部は随分と傷んでいるようですが……。駅舎の入り口は施錠されていたので、窓の外から中を覗きます。
こちらは事務室でしょうか。まるで時間が止まったかのようなリアリティがありますね。
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