(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。
サルボ
(?? = 記録はあるが疑問点あり、類型未確認)
「スズキが製造・販売していた軽自動車」とは異なります。JR 釧網本線・塘路駅の北に「エオルト沼」という沼があり、北隣には「ポントー」という沼があります。国道 391 号は「ポントー」の北東で右に大きく進行方向を変えますが、右カーブの途中に「サルボ展望台・サルルン展望台駐車場」があります。
駐車場の北には「サルボ展望台」があり、西に少し歩くと「塘路・サルルン展望台」があります。このあたりの地名が「字サルボ」のようです。
「北海道地名誌」(1975) には次のように記されていました。
サルボ 塘路湖の西端。「サㇽ・ポ」でアイヌ語で小さな湿地の意。
(NHK 北海道本部・編「北海道地名誌」北海教育評論社 p.682 より引用)
「崖」がつきました
永田地名解 (1891) には、少し違った形で記されていました。Sara po pira サラ ポ ピラ 吥坭ノ大崖どちらも sar-po ですが、永田地名解の「
「東西蝦夷山川地理取調図」には「サルフヒラ」という地名が描かれていました。また戊午日誌 (1859-1863) 「東部久須利誌」にも次のように記されていました。
また左りの方
サラフビラ
シヤリブのよし。シヤリは蘆荻原の事也。其処の向ふの平と云儀也。左り小山有、右谷地にて蘆荻原。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読「戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 上」北海道出版企画センター p.484-485 より引用)
いずれも pira のついた形で記録されています。実際に「字サルボ」も崖の上の地名(通称?)のようなので、元々は崖の名前だったと考えたいところです。「サラフビラ」あるいは「サルフヒラ」はちょっと意味を掴みかねるところがあるので、やはり sar-po-pira で「湿地・小さな・崖」と考えるべきでしょうか。ただ「小さな湿地の崖」というのも妙な感じがするので、sar-pa-pira で「湿地・かみて・崖」あたりでしょうか。これでもまだ違和感が残りますが、sar-pa と -pira の間に -oma あたりがあったのが抜け落ちた、とかでしょうか……?
サルルントー
「塘路・サルルン展望台」の南にある「サルルントー」は、sar-or-un-to で「湿地・の中・にある・沼」あたりかなぁ、と思われます。ウライヤ
(? = 記録あり、類型未確認)
「ウマイヤ朝」とは異なります。JR 釧網本線・塘路駅のすぐ北、塘路湖の湖口のあたりの地名です。地理院地図では見当たらないように思えますが、実は現役バリバリの住所で、郵便番号(〒088-2262)の設定もあります。
狭小住所だからか、古い地図では存在を確認できませんが、「北海道地名誌」(1975) には次のように記されていました。
ウライヤ 塘路湖の沼尻のところ。ウライヤはアイヌ語で簗網のこと。この地の人々が簗網で鮭漁をしたところ。
(NHK 北海道本部・編「北海道地名誌」北海教育評論社 p.682 より引用)
「アイヌ語方言辞典」(1964) にも(旭川方言として)'uráyya で「袋網」とあるので、この解釈で良さそうな感じですね。ただ ya は「陸」とも解釈できそうですし、「袋網」だとしても他所で見た記憶が無いので、? を一つ残しておきます。羽留(ぱる)
(??? = アイヌ語に由来するかどうか要精査)
JR 釧網本線・塘路駅の東の塘路湖畔に「塘路湖エコミュージアムセンター『あるこっと』」という施設があり、その隣に「元村ハウスぱる」というカヌーステーションがありますが、これらの施設の敷地内に「羽留」という四等三角点(標高 10.0 m)があります。この三角点が選点されたのは 1992(平成 4)年ですが、当時既に「元村ハウス『ぱる』」が存在していたとのこと。となるとこの三角点の名前も「ぱる」に由来する可能性が高くなるのですが、何故か三角点名は漢字で「羽留」なんですよね。
考えられる可能性は二つで、①三角点の名前をひらがなにするのを避けたかったので「羽留」という漢字表記を考案した、②昔、このあたりを「パル」と呼んでいて、「羽留」という漢字表記も考案されていた、のどちらかかなぁ、と。
仮に「②」であれば……という重大な前提条件がつきますが、par であれば「口」を意味するので、この場所であれば「塘路湖の湖口」を意味していた可能性が高くなります。見事なまでに傍証が無いので、想像でしか無いのですが……。
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