2022年10月20日木曜日

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春の道東・船と鉄路とバスの旅 2017 (4) 「温泉旅館式宇宙ステーション」

 

「苫小牧市科学センター」の敷地内にある「ミール展示館」には、ロシア旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」の予備機(世界で唯一現存する機体)が展示されていて……

【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 4 月~ 5 月時点のものです。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、各種サービスの実施状況や営業時間などが現在と異なる可能性があります。

その隣には拡張モジュールの「クバント 1」が「ミール」とドッキングした状態で展示されています。
更にその横には日本が誇る B-2 ユニット……じゃなくて H-II ロケットが展示されています。ただ、本物の H-II ロケットは全長 49.9 m なので、これはミニチュア……なんですね。
そして H-II ロケットの手前には何故か「五月人形」が。
この「五月人形」は全て木製で、なんと「苫小牧市科学センター」のスタッフの方の手作りとのこと。趣味で作成されたものだと思われますが、こういった発表の場があるのも素晴らしいことですよね。

コンセントが足りないときのアレ

しれっと「ミール」の話題に戻しますが、筒状の本体?の横に布で覆われたダクトのようなものが見えます。
まるで列車の「幌」のような、あるいはテントのような部分の先に見えている巨大な輪っかが「ドッキングポート」です。
「ミール」と「クバント 1」の間もドッキングポートでつながっているのですが、見るからにヨレヨレの布状のもので覆われているのは何故なんでしょう……?
「ミール」の画期的なところはドッキングポートを 6 つも備えていたことで、しかも拡張モジュールの「クバント 1」にもドッキングポートが備えられていました。このドッキングポートの形状は「三口コンセント」を思い起こさせますね。

創刊号は 290 ルーブル

ロケットで打ち上げられる構造物のサイズには限りがあるので(特に旧ソ連は巨大ロケットエンジンの開発に失敗した苦い歴史があります)、まずドッキングポートをいくつも備えた「ミール」を打ち上げて、その後に「拡張モジュール」をポイポイと打ち上げて合体させることで、巨大な宇宙ステーションを組み立ててしまおう……という発想だったようです。
このやり方は「温泉旅館」に通じるものがありますし、あるいはデアゴスティーニあたりを彷彿とさせますね。週刊「国際宇宙ステーション」(創刊号は 290 ルーブル)にはこんなイラストが描かれていたのかもしれません。
この手の「完成予想図」は「絵に描いた餅」に終わることも少なくないのですが、「ミール」はなんと……
ホンマに組み立ててどないすんねん……。あ、いやいや、本当に組み立ててしまったんですから凄いですよね。

温泉旅館方式

「宇宙ステーション『ミール』の歴史」というパネルには、「ミール」の魔改造拡張がどのように行われたのかが時系列で図示してありました。この拡張ぶりはどう見ても温泉旅館(あるいはタコ足配線)ですよね……。
「ミール」の端にあるこのドッキングポートには「クバント 2」「スペクトル」「クリスタル」「プリローダ」の 4 モジュールがドッキングして、残る 1 ポートは地球との行き来に使用する「ソユーズ TM」が使用していたようです。
「ミール」は 6 つのドッキングポートのうち 5 つが拡張モジュールで埋まっていたことになりますが、前述の通り「クバント 1」は両側にドッキングポートを備えていたため、「ミール」に「クバント 1」を接続しても空きポート数は減らないようになっていました。
この辺の考え方は、どことなく USB ポートにも通じるものがあって面白いですよね。

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