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見る見る間に左へ
おおっ、流石です。見る見る間に左に寄せてきましたね。タグボートで横から押したのかと思いましたが、よく考えたら今どきのフェリーは自力で横に動けるのが普通でしょうし……。タグボートの出番があったとしても右舷側なので、左舷側の客室からは確認することができません。「いしかり」はほぼ真横に近い向きにスライドを続けます。巨大なバンパーとボーディングブリッジが見えてきました。
ボーディングブリッジは、かなり複雑な形状に見えますね……。第 2 バースは太平洋フェリーが使用していますが、夜間は川崎近海汽船のフェリーも滞泊しているようなので、その関係もあるんでしょうか。
ロープを咥えた小型車両
最後の「寄せ」が終わったでしょうか。あとはロープをボラードに引っ掛けたら係留作業は完了です。地上側には「苫小牧港開発(株)」の文字の入った謎の小型車両が見えます。
ロープ(係留索)は甲板の上からぶん投げるのか……と思っていたのですが、よく見ると甲板のフェンス?に穴が空いていて、穴を通して外に出すんですね。これだと投げるのに苦労しそうな気がするんですが……(投げる想定は変わらず)。
投げられた(落とされた?)ロープを、なんと先程の「苫小牧港開発(株)」の小型車両が
小型車両が咥えて引っ張ったロープをランプウェイ脇のボラードに引っ掛けています。
ロープはキツめに
随分と離れたところに引っ掛けるんだなぁ……という感想を抱いてしまいますが、実はここ数年、苫小牧西港では係留中の船舶の動揺が激しくなっていて、ロープをきつく巻き上げることで揺れ(変位)を抑えているとのこと。「苫小牧港西港区における係留船舶の動揺について」という論文によると、2014 年から 2018 年の間に係留索(ロープ)の破断が 24 本あり、係留中の船舶の動揺を抑えるためにタグボートが出動する(本来は船舶を側方に *移動* させるためのもの)などの事態にもなっているのだそうです。
この論文によると、発生している動揺は「スウェイング」が主とのこと。「スウェイング」とは何か……という話ですが、明和海運さんの Web サイト「海運豆知識(第 29 回)船体の動揺について」によると「左右方向の揺れ」とのこと。また前後方向の揺れである「サージング」もあるそうで、最悪の場合はボーディングブリッジの損傷に繋がるのだとか。
そのため、船を静止させたにもかかわらず揺れが激しい場合はボーディングブリッジの利用を断念するケースも出ているそうです(車輌用のバウランプ経由でタクシーでの乗船・下船になるとのこと)。
気を取り直して、もう一度
ボーディングブリッジは旅客機の乗降にも用いられますが、船舶は飛行機とは違って常に上下方向の長周期振動(=「波」)があるので、恒常的な変位に耐えられる構造になっている……と思っていたのですが、それでもやはり限界はある、ということなんですね。ちゃんとボーディングブリッジで乗降できるように、ロープはしっかりと巻き上げられていました。……あれ。しっかりと巻き上げられていた筈のロープが、だらしない状態に戻っちゃってますね。
気を取り直して、もう一度。
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