ちなみに Wikipedia によると、紀勢本線も最初は新鹿と賀田の間を直結するルートを想定していた(おそらく現在の「熊野尾鷲道路」のルートに近いと思われる)ところ、地元住民の陳情により今のルートに落ち着いたとのこと。ただ陳情によって掘削が決まった「曽根トンネル」が相当な難工事になったというのは、なんとも皮肉な話ですね。
【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2016 年 6 月時点のものです。列車の時刻や使用する車輌・番線などが現在とは異なる可能性があります。
賀田駅
賀田駅は 1 面 2 線の島式ホームの駅ですが、一線スルー構造となっているのが珍しいですね。紀勢本線はとにかく列車交換できない駅が少ないのが印象的ですが、熊野市と賀田の間には「新鹿」しか列車交換可能な駅が無く、「大泊」「
二木島よりもちょっと大きな漁港の町という印象の賀田を通過して、2,839 m の「亥ヶ谷トンネル」に入ります。長いトンネルが続くのもいかにも戦後に開通した区間らしいですが、かなり工事が難航したトンネルも多かったとのこと。
賀田駅については、日本最長路線バスの旅(番外編)#6 「国内精鋭のトンネル職人が集結」もご覧ください。
三木里駅
三木里駅を通過します。1 面 1 線の棒線駅ですが、なぜか駅舎はホームの東端にあります。あ、この駅、2 面 2 線の相対式ホームだったのを 1 面 1 線に縮小したのですね。それで駅舎がホームの端にあったのか……(構内踏切はホームの端に設置するのがセオリーなので)。三木里駅は 1958 年に「紀勢東線」が九鬼から三木里まで延伸した際に設置された駅で、紀勢東線の最南端の駅にして終着駅でしたが、翌年の 1959 年に三木里と新鹿の間が開通したことにより「紀勢本線」の途中駅となりました。
三木里駅を通過してすぐに、学校らしき建物が見えてきました。かなり古そうな建物ですが、これは「尾鷲市立三木里小学校」のようで、残念ながら 2019 年 3 月で閉校になってしまったとのこと。この校舎、ドラマや映画のロケに使えそうな佇まいですよね……。
新宮から熊野市までの「熊野灘沿岸」は、熊野川が運んできた土砂を沿岸流が北に流したことにより長い砂浜が形成されていましたが、熊野市から北は山がそのまま海に落ち込むリアス式海岸(ですよね?)となっています。
面白いのが湾ごとに「使われ方」が異なることで、砂浜が海水浴場になるケースと湾がそのまま漁港になるケースに二分されているように見えます。三木里は広い砂浜(三木里ビーチ)が整備されていて、港湾機能は端の方に追いやられているように見えます。
余談ですが、三木里には「北輪内郵便局」や「紀北信用金庫 輪内支店」があるとのこと。これはなんだろう……と思ったのですが、どうやらかつての「北輪内村」に由来するようですね。
三木里駅については、日本最長路線バスの旅(番外編)#7 「九鬼水軍の本拠地」もご覧ください。
九鬼駅
三木里を通過すると、列車は 2,605 m の「名柄トンネル」を抜けて九鬼駅に向かいます。九鬼駅は 1 面 2 線の島式ホームの駅ですが、賀田駅と同じく一線スルー構造のようで、特急「ワイドビュー南紀 8 号」は大きく速度を落とすことなくそのまま通過してしまいます。九鬼駅は 1957 年に「紀勢東線」が尾鷲から九鬼まで延伸された際に設置された駅で、当初は紀勢東線の終着駅でした。駅舎はこのあたりでよく見かけるタイプのもので、没個性的なのはいかにも国鉄らしいですね。
九鬼駅については、日本最長路線バスの旅(番外編)#7 「九鬼水軍の本拠地」もご覧ください。
大曽根浦駅
九鬼からは北に向きを変えて大曽根浦駅に向かいます。紀勢本線よりも海側をカバーしていた筈の国道 311 号も、九鬼からは「八鬼山トンネル」でまっすぐ北西に向かうのですが、紀勢本線は海沿いに 9 本ものトンネルを掘削して難所をクリアしています。不思議なことに、Wikipedia の「紀勢本線」に記載されたトンネルの情報と、地理院地図に表示されているトンネル名がかなり違うんですよね。どっちが正しいのでしょう……?
大曽根浦駅は 1 面 2 線の島式ホームの駅で、一線スルー構造では無さそうですがかなり高速で通過できそうな構造のように見えます。駅の南側に住宅地が造成されていますが、駅の南側に出入り口は無さそうにも見えますね(勿体ない……)。
大曽根浦駅については、日本最長路線バスの旅(番外編)#7 「九鬼水軍の本拠地」もご覧ください。
尾鷲駅
大曽根浦を通過して、左に右にとカーブを抜けると尾鷲の市街地に入ります。「中川」を渡って長い右カーブを抜けると、間もなく尾鷲駅です。特急「ワイドビュー南紀 8 号」は定刻通りに尾鷲駅に到着しました。尾鷲駅は 2 面 2 線の相対式ホーム + かつての荷物ホームという構造ですが、殆どの列車が駅舎と直結している 1 番線を使用しています。一見謎な運用ですが、こうすることによって乗客が跨線橋を利用しなくても済むんですよね。
2 面 2 線でありながら、2 番線は殆ど使われないように見える尾鷲駅ですが、時刻表を見た限りでは、朝方の普通列車 2 本が尾鷲駅ですれ違うダイヤになっているようです。2 番線は全く使われない……ということでも無さそうですね。
尾鷲駅には立派な跨線橋も設けられていますが、跨線橋がホームの北端にあることも関係してか、駅舎もホームの北側にオフセットされた位置にあります。特急「ワイドビュー南紀 8 号」は定刻通りに尾鷲を出発して、次の停車駅である紀伊長島に向かいます(各駅停車じゃないのは若干の罪悪感が)。
尾鷲駅については、日本最長路線バスの旅(番外編)#8 「創意工夫でバリアフリー」もご覧ください。
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