2022年7月19日火曜日

紀勢本線各駅停車 (38) 「三輪崎」

紀伊佐野から、市街地の中を北東に向かいます。新宮市の市街地は新宮駅のあるあたり(北側)と紀伊佐野駅のあるあたり(南側)に綺麗に分かれているのですが、「新宮町」と「三輪崎みわさき」が合併したのが 1933 年とのこと。満州事変の二年後に合併していたんですね。
【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2016 年 6 月時点のものです。列車の時刻や使用する車輌・番線などが現在とは異なる可能性があります。

線路が見えてきました。間もなく三輪崎みわさき駅のようです。
線路脇には(紀勢本線の)起点の亀山から 185 km の位置にあることを示す 185 キロポストが見えます。

三輪崎駅

ホームが見えてきましたが……これは……。ホームの端はコンクリートで固められているものの、殆どが植え込みと化していますね。
ホームの高さが低すぎるのも気になっていたのですが、なるほどこういうことですか。ホームの南西側(植え込み部分)は既にホームとして使われていなかった、ということですね。そしてフェンスの先に駅名標があるのは、国鉄時代のフレームをそのまま流用したっぽい感じでしょうか。
三輪崎駅は下り線(紀伊田辺・和歌山方面)側に駅舎があり、上り線ホームと駅舎の間は跨線橋で連絡しています。2 面 2 線の相対式ホームなので跨線橋を設置するスペースが取りやすかったのも大きいのでしょうね。また駅舎のすぐ近くにバックミラーが見えるということは、紀伊田辺方面の列車は出口が駅舎の目の前になるように停止位置を調整している……ということのようです。
航空写真で見た感じでは、ホームの有効長は 2 両分のように見えます。以前は 3 両編成の電車も走っていたんじゃないかと思うんですが、点字ブロックを整備したのは電車が 2 両編成で固定されてからなんでしょうか。

新宮市花 浜木綿

この三輪崎駅は植え込みが充実していますが、植え込みの前には「新宮市花 浜木綿はまゆう」の看板が立てられていました。「浜木綿」の書体がユニークですが、書家の方の筆なんでしょうか。
三輪崎の駅舎は「昭和のプレハブ」と言った感がありますが、現在の駅舎は 1986 年(昭和 61 年)に竣工したものとのこと。なんとかギリギリ昭和でしたね……。
無人駅となった直後に改築された駅舎には改札ブースは無く、代わりに集札箱が設けられています。何かあった際の「お問合せ先」も掲出されていますが、078 ということは兵庫県でしょうか……。

「みわざき」の謎

1912 年に新宮鉄道の「三輪崎みわざき駅」として開業してから 104 年目(2016 年時点)のホームは、何度も嵩上げされた跡が見て取れます。
余談ですが、「みわざき」が「みわさき」に改められたのは 1934 年に新宮鉄道が国有化された際とのこと。現在の地名は「みわさき」ですし、かつての町名も「みわさき」だったのですが、新宮鉄道が「みわざき」としたのはそう読む流儀もあったから……なんでしょうか。
三輪崎を出発すると紀勢本線は海のすぐ近くの岩場の間を走ります。このあたりでは国道 42 号は山手を通っていて、かつての「中辺路」も高台を通っているので、海沿いを通るのは紀勢本線(かつての新宮鉄道線)だけです。

広角駅(廃止)

岩場を抜けると右前方に遠浅の海が見えてきました。実は 1937 年までこのあたりに「広角ひろつの」があったとのこと。
広角駅の前身となる「御手洗停留場」が開設されたのは 1932 年(新宮鉄道の開通 20 年後)で、新宮鉄道が国有化された 1934 年に「広角駅」と改められてその僅か 3 年後の 1937 年に廃止という、実質 5 年弱しか存在しなかった駅だったようです。

改めて年譜形式にすると次のようになるでしょうか。僅か 5 年弱の間に本当に色々あったんですね……。

1912 年新宮鉄道開通
1932 年御手洗停留場開設
1933 年新宮町と三輪崎町が合併し新宮市発足
1934 年新宮鉄道が国有化、広角駅に改称
1937 年広角駅廃止

これまた余談ですが、広角駅が廃止された 6 日後に「盧溝橋事件」が勃発していました。「満州事変」の翌年に開業し「盧溝橋事件」の直前に廃止されていたことになりますね。

新宮町と三輪崎町の合併がかなり早かったのは意外な感じがするのですが、新宮は熊野川の河口に形成された町ということもあり、遠浅の海が広がっています。そのため港湾施設はお隣の三輪崎町を頼るしか無かったのも理由の一つとしてあったかも……しれませんね(「持ちつ持たれつ」的な関係だったのかも)。
どうやら工事でも行っていたのか、徐行区間(45 km/h かな?)に入っていたようでしたが、ここで徐行区間は終了のようです。

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