2022年6月6日月曜日

紀勢本線各駅停車 (8) 「広川ビーチ」

御坊行き 341M は「和歌山県立耐久高校」のお膝元である湯浅駅を出発しました。沿線の水田には田植え体験中のお子さんの姿も。
稜線の先に風力発電のタービンが見えてきました。風力発電は比較的安全なイメージがありますが、爆発的に増えているようにも見えないのは、太陽光パネルを並べるより設置と維持管理にコストがかかる……ということなんでしょうか。

広川ビーチ駅

湯浅から 2.6 km ほどで「広川ビーチ」駅に到着です。「広川ビーチ駅周辺ガイド」という、めちゃくちゃポップな案内図が見えます。
この「広川ビーチ駅」は 1993 年に開業した、紀勢本線で最も新しい駅とのこと。色々とツッコミどころが満載の駅ですが、やはり「広川ビーチ」という駅名が気になります。

広川町役場の最寄駅は「湯浅駅」

広川町唯一の駅にもかかわらず「広川駅」を名乗らなかったのは不思議な感じもしますが、実は広川町の中心地は「広川ビーチ駅」よりも「湯浅駅」のほうが近かったりします(湯浅駅からは「湯浅町役場」よりも「広川町役場」のほうが近いという話も)。広川町の人にとっては、「広川ビーチ駅」は中心地から随分と離れたところにある駅……と感じられるのでしょうね。

また、「広川ビーチ」という砂浜があるわけでも無いようで、「西広海岸」などのいくつかの海岸を総称してのネーミング……ということでしょうか。阪和道の広川ひろがわ IC と広川町南西部を結ぶ道路には「広川マリントンネル」というトンネルがあるようで、この手の和洋折衷的なネーミングを好む人がいたのかも……?

旧・南広信号場

広川ビーチ駅は、湯浅駅から比較的距離のある、町の南半分からの利用を期待しての立地か……と思ったのですが、実は紀勢本線が複線化される前に「南広信号場」があった場所なのだとか。広川町には「広」や「西広」のほかにも「南広」もあるようで(「南広」は旧村名とのこと)、「西広」に近いのに「南広」を駅名にするのも引っかかる、かと言って役場から遠いのに「広川」にするのも……という葛藤もあったりしたのでしょうか。

ということで「広川ビーチ駅」ですが、駅舎に物産館が隣接しているということで、なかなか立派なものが建てられています。1993 年当時は今とは比べ物にならないくらい、資金面で余裕があったのでしょうね……。

駅名は「ひろかわ──」、町名は「ひろがわ」

広川ひろかわビーチ駅」は「広川ひろがわ町」にあります。駅舎(に隣接する物産館)には「和歌山県有田郡広川町」の町章と、その横に「広川ビーチ」の文字が。上にはデカデカと HIROKAWA と描かれていて、町名が「ひろがわ」であることを窺わせるものは見当たりません。
「誤読駅名」というのはこれまでもちょくちょく存在していたようで、「旭川あさひかわ市」の「旭川あさひがわ駅」あたりが有名でしょうか。旭川駅は 1905 年に何故か「あさひがわ」に読みを改められてしまい、その後 1988 年に「あさひかわ」に戻されています。

ただ、東海道新幹線の「米原まいばら駅」のある「米原」は「滋賀県坂田郡米原町まいはらちょう」でしたが、合併・市制後の市名は「米原まいばら市」になってしまいました。これは町名よりも駅名が有名になってしまった……とも言えそうですね。
駅名標にも「ひろかわびーち」とあります。「びーち」はちゃんと英語で beach なんですね。

象形文字?

広川ビーチを出発すると、もの凄く形の良い山が見えてきました。
まるでピラミッドを思わせるような形の山ですが、実際にはトランプの「ダイヤ」を横向きにしたような形のようです(それでも形が良いことには違いありませんが)。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
「西広海岸」の向こうには、まるで象形文字の「山」を思わせるような島も見えます。この島は「鷹島」という名前のようで、島内の最高地点は 107.6 m とのこと。思った以上に大きな島でした。
御坊行き 341M は「由良トンネル」に入ります。次は「紀伊由良駅」です。

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