2022年5月20日金曜日

紀勢本線各駅停車 (プロローグ 1) 「熊取・日根野・長滝・新家・和泉砂川」

ある晴れた日の朝、天王寺駅にやってきました。2016 年 6 月の出来事です。
京橋発和歌山行きの「紀州路快速」がやってきました(前 5 両が関西空港行きの「関空快速」で、後ろ 3 両が和歌山行きの「紀州路快速」だったと思います)。これまでの車輌だと中吊り広告があったスペースに液晶ディスプレイが設置されていて、着席中の乗客にも各種の案内が見やすくなっています。

熊取駅(JR-R44)

天王寺を出発してからは、堺市、三国ケ丘、鳳、和泉府中、東岸和田に停車した後、熊取に到着しました。向かい側の待避線に天王寺行き?の各駅停車が停車中ですが……
あっ……!
あっ、あっ……!
目の前を関空特急「はるか」が思いっきり通過していきました。ここは関西空港線の分岐駅である日根野の隣駅なので、「はるか」が関空快速を追い越すのはここが事実上ラストチャンスということなのでしょうね。

各駅停車については日根野発や熊取発の設定があるようで、待避線に停車していたのは日根野発の列車だったみたいですね。後ろから「はるか」が来るのがわかっているなら、日根野発を遅らせれば良さそうなものですが、まぁ、わざわざ先発させて次の駅で退避というダイヤにしたほうが、どこかしら都合が良いということなんでしょうか。

日根野駅(JR-R45)

熊取の隣駅である日根野駅に到着しました。向かい側の 4 番線(=上り本線)に快速列車が見えます。
なるほど、4 番線で「関空快速」と「紀州路快速」の連結を行う間に「はるか」が 3 番線を通過するというダイヤでしょうか。となると各駅停車が「はるか」をやり過ごす余地が無いので、やはり熊取まで先行して逃げるしか手が無いのでしょうね。

長滝駅(JR-R46)

日根野で「関空快速」と分離した「紀州路快速」は、日根野から先は各駅に停車します(朝晩などは快速運転するものもあるとのこと)。ということで、日根野の次の長滝駅に到着です。
この長滝駅ですが、日根野との間は 1.4 km しか離れていません。JR にしてはかなり駅間距離が短いですが、阪和線はもともと「阪和電気鉄道」を戦時買収で国有化した路線で、日根野駅も長滝駅も阪和電気鉄道が開設したものでした。また日根野駅はもともと「日根野停留場」だったらしく、駅と駅の間に補助的に設けた停留場だった……ということになりますね。
長滝駅の駅舎ですが、小ぶりながらちょっとレトロモダンな感じのするものですね。お隣の南海本線にも良い佇まいの駅が多いのですが、こんなところにも南海電鉄と阪和電鉄の対抗関係が出ていたのでしょうか。

「阪和電鉄」という会社は南海電鉄よりも後発で、南海鉄道に対抗するためにスピード違反を常態的に繰り返す「スピードジャンキー」と化していたとのこと。認可速度が 95 km/h だったのに対し、列車の遅れを取り戻すために 120 km/h 以上出すこともあったのだそうです。

新家駅(JR-R47)

長滝駅から 3 分ほどで、次の新家しんげ駅です。比較的新しそうなホームの向こうに「新しそうな家」が見えるというのも洒落が効いていますね。
ただ、この駅も日根野駅と同じく阪和電鉄によって「停留場」として設けられたものでした。駅の中心部のホームは石積みのもので、いかにも「昭和一桁生まれの駅」っぽい雰囲気ですね。

和泉砂川駅(JR-R48)

長滝駅と新家駅の間は 2.3 km でしたが、新家駅と次の和泉砂川駅の間は 1.9 km しか離れていません。駅と駅の間に停留場を設けて、すぐに停留場を駅に格上げするというのが阪和電鉄の「作戦」だったのかもしれません。

ということで和泉砂川駅ですが……これもまた趣のある駅舎ですね!
日根野停留場・長滝駅・新家停留場と続いたので、次の和泉砂川は最初から駅だったのだろうな……と想像がつくのですが、この駅は 1930 年に「信達しんだち駅」という名前で開業したとのこと。その後 1932 年に「阪和砂川駅」となり、阪和電気鉄道が南海鉄道に吸収合併された後の 1941 年には「砂川園駅」に、そして 1944 年に戦時買収で国有化された際に「和泉砂川駅」に改められて現在に至ります。
この和泉砂川駅は快速も停車するほか、朝と晩には特急「くろしお」も停車するとのこと。「くろしお」は和泉砂川から天王寺までを約 40 分で結ぶことから、通勤需要があるのかもしれません。
ホームの待合室にはすだれが下ろされていました。日差しを遮るという意味ではブラインドやロールカーテンでも良いのでしょうけど、簾のほうが圧倒的に涼感があるのは何故なんでしょう……?

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