宗谷本線は天塩川の渡河を頑なに避けていましたが、剣淵川については忌避する対象ではなかったのか、剣淵駅の前後で 2 度も架橋しています。
並行する国道 40 号(に相当する道路)は剣淵川の東側をキープしていて、道央自動車道もほぼ同じルートを踏襲していることを考えると、鉄道だけコスト増になりそうな架橋ルートを選択したのがかなり謎に思えてきました。剣淵は「屯田兵村」だった筈なので、それがプラスに働いたのでしょうか。
328D は剣淵川を渡った後も、防風林の中を快調に飛ばしていましたが……あれっ、停まってしまいましたね。停止位置目標らしきものが見えますが……
東六線駅(W39・2021/3/13 廃止)
白々しい書きっぷりですが、旭川行き 328D は「東六線駅」に到着しました。ホームと駅舎が進行方向左側にあるので、駅らしきものが撮影できたのは、先程の停止位置目標とこの駅名標くらいで……残念ながら写真撮影はできませんでしたが、この東六線駅のホームもウッドデッキ構造だったとのこと。1956 年に仮乗降場として設置された後、1959 年には早くも駅として昇格を果たしています。
宗谷本線には 1955 年から 1959 年にかけて設置された仮乗降場が非常に多いのですが、これは蒸気機関車が牽引する客車列車よりも加速・減速に優れたディーゼルカーの導入により、所要時間をあまり損なうことなく停車駅を追加できるようになったから、なのでしょうね。
もっとも停車駅が増えることによって使用する燃料も増加するのですが、当時はその辺は割と無頓着だった(あるいは利用者増で回収できる計算だった)のかもしれません。やがて稠密な駅間は利用者が減少するとともに鉄道事業者の首を絞めることになってしまいます。
面白いのが東六線駅のようにすぐに駅に昇格したケースもあれば、北剣淵駅のように JR が発足するまで仮乗降場のまま据え置かれたケースもあるという点で、両者の違いはどこにあったのでしょう。何の根拠もない推測ですが、業務委託先が存在した場合は駅に昇格しやすかった……と言ったような実務的な話だったのでしょうか。
「絵になる駅」だったのですが
東六線駅はあっさりと駅に昇格したところまでは順風満帆だったのかもしれませんが、他の駅と同様に利用者は減少を続け、一日平均乗車人員が 10 人を下回る「極端にご利用の少ない駅・10 名以下」部門にノミネートされてしまいます。剣淵町は北剣淵駅とともに東六線駅の廃止も容認したため、ともに 2021 年 3 月 13 日に廃止されてしまいました。防風林の中を一直線に伸びる線路の脇にちょこんと存在する「絵になる駅」だったのですが……
和寒町へ
328D は剣淵川の支流である「六線川」を渡って和寒町に入りました。和寒町に入ってからは防風林を見かけなくなりましたね。こちらは「防風林」というよりは「鉄道林」というか、単なる線路脇の林なのでしょうか。防風林と言うにはちょっとスカスカな感じがするので……。
「十四線」の踏切を過ぎると、間もなく和寒駅です。
この「十四線」は「東六線」から数えて 8 本目の道路なので、「東六線」の北にあと 5 本道路があることになるのですが、地図で見た限りでは「一線」および「基線」に相当する道路が見当たりません。剣淵町の美羽烏神社のあたり(剣淵橋の近く)に「基線」に相当する道路がありそうなものですが……。
和寒駅(W38)
車内に動きがありました。どうやら高校生っぽいお客さんが大勢下車するようです。駅前の駐車場と跨線橋らしきものが見えてきました。この跨線橋は駅のものではなく、線路の東西を往来するための歩道橋のようです。跨線橋は別にあるのですが、ちょっと勿体ない感じもしますね。
和寒駅に到着しました。和寒駅は 2 面 3 線の国鉄型配線に近い構造で、駅の南側のポイントが高速で通過できるようになっているようにも見えます。剣淵駅も似たような感じだったのですが、厳密な「一線スルー」構造では無いのかもしれません(ただポイント通過時に大幅な減速を必要としないと思われるので、一線スルー構造に近い効果は得られているのでしょう)。
普通列車同士の列車交換
旭川行き 328D は本線である 2 番線に入線しました。Wikipedia を見た限りでは、和寒駅は方向別でホームを使い分けているようで、旭川方面の列車が駅舎に近い 1 番線に入ることは無さそうに見えます。1 番線に列車が入線してきました。旭川からやってきた 329D のようです。時刻表をちらっと眺めてみた感じでは、和寒駅で列車交換を行うのは一日 3 回のようで、うち 2 回は特急「スーパー宗谷」と快速または普通の交換なので、普通列車同士の交換はこれが唯一のようですね。
そして今頃気づいたのですが、和寒駅は特急停車駅だったのでした。「市の代表駅」はあっても「町の代表駅」は無かったと思いますが、宗谷本線の沿線の町を代表する駅で特急が停車しないのは「比布」と「剣淵」だけなのかもしれません(以前は「風連」もそうでしたが、名寄市と合併してしまったので)。
本場の味!本場の味!本場の味!
和寒駅の駅舎も、JR 北海道が発足した直後の 1988 年に改築されています。バブル経済華やかなりし頃ですが、今から思えば千載一遇のタイミングだったように思えてしまいます。もちろん「本場の味」はサッポロビールなんですが、例によってブレが酷いですね……(すいませんすいません)。
そして更にブレが酷い(というかピントが合ってない)写真をお目にかけますが、この写真内だけで「本場の味」が 4 つも確認できます。
撮影できただけで、駅舎に 2 つ、駅舎横の電柱に 1 つ、そして 1 番のりばの屋根柱に 3 つと後ろの電柱に 1 つ、2 番のりばの電柱にも 1 つあり、「本場の味」が最低でも 8 つ存在するということになりますね。さすがは特急停車駅、格の違いを見せつけたと言ったところでしょうか(どこが)。
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