(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。
幌子芦別川(ほろこあしべつ──)
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)
芦別川には「三段滝」という景勝地がありますが、そのすぐ上流側(南川)で芦別川に合流する西支流の名前です。現在川沿いに道道 135 号「美唄富良野線」が絶賛建設中です。「北海道地名誌」には次のように記されていました。
幌子芦別川 (ほろしあしべつがわ) 芦別川左支流。アイヌ語「ポル・ウㇱ・アシ・ペッ」で洞窟のある芦別川の意と思う。
(NHK 北海道本部・編「北海道地名誌」北海教育評論社 p.230 より引用)
読み方からして違うのですが、大正時代に測図された陸軍図でも「ポロコ」とルビが振られているので、やはり現在でも「ほろこ──」と読むべきなのではないかなぁ、と思わせます。この「幌子芦別川」、上流部に遡ると(西に向かうはずが)どんどんと北上してしまうという、典型的な「U ターンする川」のようです。改めて「東西蝦夷山川地理取調図」を見てみると「ホリカアシヘツ」という名前の川が描かれています。
ということなので、horka-(as-pet) で「U ターンする・{芦別川}」と考えるのが自然なのではないかと思うのですが……。
サキペンベツ川
(?? = 典拠なし、類型あり)
芦別川の東支流で、川沿いを道道 135 号「美唄富良野線」が通っています。道道 135 号の芦別と富良野の間の区間は既に開通済みで、札幌と富良野の間の最短ルートとして広く使われています(かなり走りやすい道です)。残念ながら「東西蝦夷山川地理取調図」には描かれていないようなので、「サキペンベツ」という音から意味を考えてみましょう。
sak は sak-ru などでおなじみの「夏」を意味する語彙で、また re-sak-pet のように「無い」を意味する場合もあります。ipe は「食べる」あるいは「食べ物」を意味しますね。ですので sak-ipe は「夏の食べ物」となりそうな予感がしますが……
知里さんの「動物編」で答え合わせをしたところ、sakipe は「サクラマス」を意味するとのこと。
§68. サクラマス Oncorhynchus masou (Brevoort)
Salmo milktschitch (Walbaum)
( 1 ) sakípe(サきペ)[sak(夏)ipe(魚)]《屈; 長》
(知里真志保「知里真志保著作集 別巻 I『分類アイヌ語辞典 動物編』」平凡社 p.52 より引用)
ということなので、sakipe-un-pet で「サクラマス・いる・川」あたりの意味だったのでは無いでしょうか。ペンケリヤウシ川
(? = 典拠未確認、類型多数)
芦別川の東支流の名前です。南側(川上側)に「ペンケリヤウシ川」が、北側(川下側)に「パンケリヤウシ川」があります。penke-(川上側の)と panke-(川下側の)がちゃんと揃っていることになりますね。この川も「東西蝦夷山川地理取調図」には描かれていないようですが、意味するところは penke-riya-us-i で「川上側の・越冬する・いつもする・ところ」と考えて良いかと思います。
さて、いったい何が越冬するのでしょう。シカとかでしょうか……?
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1 件のコメント:
penke-riya-us-i で「川上側の・越冬する・いつもする・ところ」と考えて良いかと思います。
さて、いったい何が越冬するのでしょう。シカとかでしょうか……?
これは、場所請負制度によって崩壊した季節型コタン(移動型コタン)のマタコタンです。
つまり、アイヌが越冬した場所です。
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