「すぐに見当がついた」と同時に、「おいおいマジかよ……」と思ったのも確かなのですが、これはつまり、津波に流されてしまったかつての市街地をまるごと埋め立てて嵩上げしてしまおう……ということですよね。そりゃあ確かに標高があったほうが津波の被害は少なくなりますが、だからと言って市街地全体を嵩上げするというのは「尋常ではない」……というのが偽らざる感想でした。
気になる嵩上げの規模ですが、海抜 1 m 以下だった場所を海抜 10 m 程度まで嵩上げするとのこと。規模感はこの写真がわかりやすいかもしれません。
尋常ではない「百年の計」か
嵩上げ対象の土地に東京ドームがいくつ収まるのかはわかりませんが、広大な土地を海抜 10 m 程度まで嵩上げするというのは……。何度も同じことを書いてしまって申し訳ありませんが、やはり「尋常ではない」という感想しか出てきません。もっとも、この「大改造」の背景として、0.5 m ほどの地盤沈下があったことは外せないポイントかもしれません。もちろん原状復帰だけであれば 0.5 m ほど盛土をすれば良いわけで、それを一気に 8~9 m も上まで嵩上げするというのは流石に「地盤沈下対策」とは言えないような気もします。
まさに「陸前高田百年の計」あるいは「千年の計」なのだなぁと思わずにはいられない壮大な事業ですが、後の世でどのように評価されるのかは興味深いところです。10 m の盛土は津波に強くなる反面、地震そのものの揺れには脆弱になっている可能性も捨てきれませんので。
巨大なベルトコンベアー
前方に、まるで石油プラントのような一角が見えてきました。実はこれが、周辺の山から土を運ぶために設けられたベルトコンベアーなんだとか。確かにこれだけの量の土をダンプで運ぶのは不可能でしょうからね。国道 45 号との交叉点が近づいてきました。左折すると大船渡・釜石方面(三陸道・通岡 IC)で、右折すると石巻・気仙沼方面です。
漠然とした巨大な圧迫感
そして、右折すると「奇跡の一本松」を見に行けるそうです。「高田松原」に群生していた松が軒並み津波に倒された中、一本だけ倒れることの無かった松の木は「再生のシンボル」として一躍有名になったのでした。交叉点を右折して、気仙沼方面に向かいます。……うわ、巨大なベルトコンベアーの手前には観光バスが止まっていて、観光客もいますね。
そして駐車場にはたくさんの車が。「奇跡の一本松」と「巨大ベルトコンベアー」が図らずも共存してしまっているというのは、この上なく強烈にシュールな空間でした。なんというか、ベルトコンベアーが「奇跡の一本松」を「生き埋め」にしてしまうんじゃないか……と思わせるような、漠然とした巨大な圧迫感があったのです。
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