県道 31 号を歩いていると、邑南町のバス「おおなんバス」とすれ違いました。邑南町と言えば口羽駅・宇都井駅などが属する自治体……という印象があるのですが、邑南町の役場は町内で最も近い宇都井駅から直線距離で 17.6 km ほど離れています。
「おおなんバス」邑南川本線は、石見川本から因原と邑南町役場(矢上)を経由して旧・瑞穂町の最南部まで走っているようです。旧・石見町や旧・瑞穂町の中心部は盆地状に開けていて、下手をすれば三江線沿線よりも栄えているようにすら見えてしまいますが、鉄道とはこれまで縁が無かったようですね。
レールの無い「自動車駅」?
邑南町役場の近くには「矢上駅」という名前のバス停がありますが、これは国鉄バス時代に「自動車駅」だった名残のようです。「自動車駅」は確かにバス停に他ならないのですが、国鉄の鉄道線との通し乗車券も発売していて、レールが無い以外は国鉄の駅と大差無かったのだとか。中には「みどりの窓口」のある自動車駅もあったのだそうですね。旧・石見町や旧・瑞穂町は「鉄道とはこれまで縁がなかった」などと書いてしまいましたが、いえいえ決してそんなことは無く、レールこそ無かったものの国鉄の駅があったんですね。
Wikipedia の「川本線」によると、川本線には「田所駅」「上田所駅」「石見井原駅」
「矢上駅」の 4 つの自動車駅があったようです。「おおなんバス 路線図・時刻案内」によると、現在も「矢上駅」が健在のほか、「田所(道の駅)」「石見井原」「上田所」もそれぞれ現役のバス停として使用されているようです。
上田所駅の今
Wikipedia には「撤退後も石見交通・邑南町営バスの乗車券類を発売している」とありますが、上田所駅を Google ストリートビューで見た限りでは単なるバス停のように見えます。道路の向かい側に郵便局がありますが……特急バス「銀山号」
国鉄バスの「川本線」と「川本北線」は「陰陽連絡線」としての側面のある路線で、広島駅から大田市駅を結ぶ特急バス「銀山号」が走っていました。広島駅新幹線口から大田市駅までの所要時間は 3 時間 12 分程度で、大変皮肉なことに JR 芸備線・三江線・山陰本線を乗り継いだ場合よりも 2 時間以上も早く着く計算になります。実際には三次と江津で乗り換え待ちの時間が発生するので、2 時間どころの差ではありません。これだけの大差がついてしまう理由は単純なことで、三江線に各駅停車の設定しか無い……ということもありますが、線形の悪さが最大の理由だと思われます。
かつての特急バス「銀山号」がほぼ一直線に広島と大田を結んでいたのに対し、三次と江津を経由せざるを得ない上に自身の線形すら大回りを強いられている三江線は、相手として分が悪すぎたと言えそうです。しかも、この特急バス「銀山号」自体が既に 2005 年 6 月で廃止されていると言うのですから、三江線の維持がいかに難しい状況に置かれていたか、察するに余りあるものがありますね。
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