2017年12月29日金曜日

福塩線・三江線各駅停車 (0) 「最後の『ひかりレールスター』」

間もなく 2017 年も終わろうかとしているこの時期に、新連載をスタートさせることになりました(汗)。記念すべき第一回を新年に取っておくべく、初日の今回はゼロからのスタートにしてみました(無理やり感)。

冬の夜の新大阪駅

昨年(2016 年)12 月のある日のこと、新幹線の新大阪駅にやってきました。これから福山に向かうのですが、こんな時間になったのには理由がありました。
そう、20:20 に博多行きの「ひかりレールスター」が出発するのですね。かつては 1 時間に 1~2 本は走っていた「ひかりレールスター」ですが、九州新幹線の開業に伴って軒並み「さくら」と「みずほ」に置き換えられ、今ではなんと一日一往復を残すのみになってしまいました。

「ひかりレールスター」が生まれるまで

東海道・山陽新幹線には「のぞみ」が頻繁に走っていて、それを補完する形で「ひかり」と「こだま」が走っています。東海道新幹線は(車輌運用の都合もあり)全ての列車が 16 両編成で走っていますが、山陽新幹線では 16 両編成は供給過多ということもあったため、山陽新幹線内で完結する「ひかり」や「こだま」については、独自に車両数を少なくした編成を組んで運行していました。

供給過多ということは、「利用客が多くない」ということでもあるのですが、さらに裏を返せば「座席数に余裕がある」ということでもありました。そのため、山陽新幹線の「ひかり」は減車するとともに指定席車の座席を横 5 列から横 4 列のゆったりしたものに交換して、「飛行機よりも格段にゆったりしたシート」を追加料金無しで提供することにしました。

この「指定席車の 4 列シート化」は好評を以て迎えられました。しかしながら、300 系「のぞみ」が最高 270 km/h で走行し、500 系「のぞみ」に至っては最高 300 km/h で走行する中、0 系・100 系の「ひかり」は最高 220 km/h しか出せなかったため、どうしても「のぞみ」の通過待ちが増えてしまい、所要時間の面でハンデを負うことになってしまいました。

そのため、「ひかり」自体の高速化を図るべく、「のぞみ」用に新たに開発された 700 系をベースにした独自仕様の 8 両編成を「ひかりレールスター」という名前で投入したのでした。今から遡ること 17 年前、2000 年のお話です。
独特なノーズの形などは「のぞみ」用の 700 系とそっくりですが(同じ形式ですから当然なのですが)、カラーリングが全く異なるので雰囲気もかなり違いますね。

「Rail Star」のロゴ

先頭車のドアの前には「Rail Star」のロゴが。下には WEST JAPAN RAILWAY の文字も見えますね。
レールスターのロゴをよーく見てみると……「r」の字の上あたりに、なにかゴジラのような絵が描かれていますね。
これ、実は……
単に汚れがついていただけみたいです(ぉぃ)。

伝統の横 4 列シート

ということで、「ひかりレールスター」の 8 号車に乗車しました。「ウエストひかり」からの伝統である「指定席車の横 4 列シート」は「ひかりレールスター」にも受け継がれています(そして九州新幹線の「さくら」「みずほ」にも受け継がれました)。
テーブルのサイズは「のぞみ」と似たようなものだと思いますが、そのおかげでシートの大きさが際立っていますね。

コンパートメント席

「ひかりレールスター」は、横 4 列シート以外にもいくつかのユニークな要素が組み込まれていました。たとえば 4 号車では車内のアナウンスが始発直後と終着駅直前を除き一切流れない「サイレンス・カー」というサービスが行われていましたし、また今では当たり前になった感のある「電源のある座席」を「オフィスシート」という名前で発売していました(車輌の最前列 4 席が「オフィスシート」という扱いでした)。

他に類を見ないユニークな要素が多かった「ひかりレールスター」ですが、その最たるものが 8 号車最後部にあった「コンパートメント席」でしょう。
「コンパートメント席」には、4 人が向かい合わせに座るボックスシートに壁とドアがついていました。ちなみに 4 人で利用した場合は追加料金は不要とのこと。現在では一日一往復だけになってしまった超レアな席なので、きっと誰も使っていないだろう……と思ったのですが、この日はなんと(一室だけですが)利用客がいたようでした。知る人ぞ知る幻の席と言ったところでしょうか。

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