2017年4月9日日曜日

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北海道のアイヌ語地名 (431) 「栗岡・オバルベツ川・フラノベツ川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

栗岡(くりおか)

yam-ni-us-i
栗・木・多くある・もの
(典拠あり、類型あり)
JR 函館本線の長万部駅と二股駅の中間あたりに位置する地名です。戦前の地形図には「栗ノ木岱」という地名が記されていました。

少々ややこしいのが、「栗ノ木岱」は長万部川の西側の地名だったと思われるのですが、現存する「栗の木岱川」は長万部川の東側を流れています。このあたりの川は地図によって東西の取り違えがありそうな感じです。

この「栗岡」こと「栗ノ木岱」ですが、東西蝦夷山川地理取調図に「ヤムニウシ」とあるあたりの地名に見受けられます。yam-ni-us-i で「栗・木・多くある・もの」ですから、そこから「栗ノ木岱」となり、さらに「栗岡」に変化したと考えられそうですね。

どうやらこのあたりでは、アイヌ語の地名がその意味を正しく和訳されていたケースが少なからずあったように見受けられます。

オバルベツ川

o-par(-us)-pet?
河口・入り口(・多くある)・川
o-para(-us)-pet?
河口・広くある・いつもする・川
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)
長万部の中心街の北側を流れる川の名前です。もともとは長万部川に注いでいましたが、長万部川が改修されて海にまっすぐ注ぐようになってからは、長万部川の旧河道に注ぐ形になっています(長万部川の旧河道にも僅かながら新河道から流入があるようなので、川として廃されたわけでは無さそうに見えます)。

戦前の地形図には、現在の長万部 IC のあたりに「ヲバルベツ」という地名が記されています。また、「北海道測量舎五万分一地形図 胆振国」には「ヲパルウシペッ」という川が記されているようです。

これらの記録から考えると、o-par(-us)-pet か、あるいは o-para(-us)-pet あたりでしょうか。o-par-us-pet であれば「河口・入り口・多くある・川」となります。ちょっとワケがわからない感じもしますが、河口が幾重にも分かれていたりしたのでしょうか。

o-para-us-pet であれば「河口・広くある・いつもする・川」と言ったところでしょうか。さて、どっちでしょうねぇ……。

フラノベツ川

hura-nu-pet?
臭い・持つ・川
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)
東京理科大の長万部キャンパスから西に向かったところに「長万部公園」という公園があるそうなのですが、その近くを流れている川の名前です。このフラノベツ川自体は南東に向かって流れて、国道 5 号線の東側で南南西に向きを変えて紋別川に注ぎます(そのまま真っすぐ海に注げばいいのに)。

見るからに「富良野」とそっくりなのですが、意味するところも富良野と同じく hura-nu-pet で「臭い・持つ・川」あたりでしょうか。上流に硫黄分でも含むような泉が湧き出していたりしたのかもしれません。

古地図コレクション」で伊能図を確認したところ、「フラヌヘツ川」との記載がありました。やはり hura-nu-pet だと考えて良さそうな感じでしょうか。

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