苫小牧到着まであと 2 時間を切りました。名古屋から苫小牧まで 40 時間の船旅も、気がつけばあと 2 時間を切ってしまっているわけで……否応なく寂寥感を覚えてしまいます。
最終日も到着の 1 時間 30 分前にお別れのピアノ演奏が行われます。9:30 からなので、そろそろスタンド「マーメイドクラブ」のオープンスペースに向かうとしましょう。
カエルの謎を推理する
というわけで、グランドピアノの近くの、良さ気なシートを無事ゲットしました。ところで、この日の朝からちょいと気になっていたのですが……ピアノの下にある、このカエルは一体何なのでしょうか……?
……この連載を書いていて気がついたのですが、「ラウンジショー」で演奏を披露してくださる方々は、必ずしもピアニストとは限らなかったんですよね。http://www.taiheiyo-ferry.co.jp/news/pdf/saiji_1601.pdf を見ても、ジャズバンドや民謡歌手、パーカッションや三味線など、鍵盤が専門ではない人が結構多くいらっしゃいます。
そして、このピアノにはこんな機械がついていました。
これらの情報から推理するに、ピアニストが乗船していない航海では、このカエルが「お別れのピアノ演奏」を担当しているのかな……と。もちろん機械による自動演奏なんですが、誰も座っていないのも寂しいので、カエルを座らせてみました……みたいな。
幸いなことに、この時の航海は「船上のピアニスト」さんが乗船されていました。というわけで、カエルはピアノの下で Elfyn Evans 状態(誰だよ)だったのですけどね。
見えてきました北の大地!
「お別れのピアノ演奏」を堪能しているうちに、苫小牧到着まで 1 時間を切ってしまいました。窓の先には既に北の大地が姿を見せています。窓越しに北海道の姿を眺めながら、どこか船内で見忘れている場所があったよな……と自問自答していたのですが、ようやく思い出すことができました。船外甲板をちゃんと見ていなかったのですね。
というわけで、7F のドアから外に出てみました。
さすがと言うべきか、当たり前と言うべきか、外に人の姿はありません(汗)。
秒速 10 m の向かい風
風に押される形で船尾の方まで歩いてゆきました。船速は 20.7 ノットとありますが、メートル法に直すと 38.3 km/h ですから、船首から船尾方向に結構な風が吹いていることになりますね。船尾部に到着しました。当然ながら誰もいません。
あとは戻るだけ……なのですが、ここで重大な事実に気がついてしまいました。船首方向に戻るには向かい風の中を歩いていかないといけないのです。38.3 km/h で航海中ということは、仮に凪いでいたとしても秒速 10 m の風が吹いていることになるわけです。0 ℃ 前後の空気が秒速 10 m で吹き続ける中、100 m 近くを歩いて戻るというのは……これ、真剣に危険です(汗)。息ができなくなります。
こんなことになる位なら、房総沖を航海している間に外に出ておくべきだった……と思ったりもしたのですが、過ぎたことを悔やむ前に船室に戻らないと、本当に凍死してしまいかねません。時折後ろを振り返っては呼吸をつなぎながら、なんとか船室のドアまで戻ってきたのでした。
お客様へのお願い
というわけなので、冬場の船外甲板はマジで危険です。お客様に於かれましては、不要な外出はなさらないことをお勧めいたします(汗)。「秒速 10 m の向かい風」と書いておけば、考えを変える人も出るかも……と真剣に思ってしまいました。「太平洋フェリー『きそ』ロイヤルスイート乗船記」、過去の記事はこちらからどうぞ。
2015/12/10(はじめに)
2015/12/11(名古屋港 FT 編)
2015/12/12(乗船待ち編)
2015/12/13(ようやく乗船編)
2015/12/14(車両甲板から客室へ)
2015/12/15(居室編)
2015/12/16(寝室編)
2015/12/17(バーカウンター編)
2015/12/18(おトイレ編)
2015/12/19(お夕食編)
2015/12/20(プロムナード編)
2015/12/21(船上のピアニスト編)
2015/12/22(船内ブラブラ編)
2015/12/23(船内うろうろ編)
2015/12/24(無重力マッサージ編)
2015/12/25(朝食編)
2015/12/26(昼食編)
2015/12/27(お風呂編)
2015/12/28(トリスおじさん編)
2015/12/29(仙台入港編)
2015/12/30(二度目のお夕食編)
2015/12/31(謎の部屋編)
2016/01/01(三日目の朝食編)
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