乗車前に、3 番のりばに人がいるなぁ……と思っていたのですが、
どうやら紀伊田辺あたりからの電車を待っていたみたいです。紀勢本線が電化されているのは新宮までなので、電車は新宮で折り返して、紀伊田辺に戻るようです。
熊野川を越えて三重県へ
多気行きの普通列車は、定刻通りに新宮駅を発車しました。城跡のトンネルを抜けるとそのまま熊野川の上に出ます。ほぼ「海」のように見える熊野川ですが、鵜殿側の北岸には河原も存在します。あ、三重県に入りましたね。
かつて日本一小さかった村
三重県は南牟婁郡紀宝町にやってきました。90 度ほど右にカーブして、短いトンネルを抜けると鵜殿の町に入ります。平成の大合併で今は「紀宝町」ですが、かつてこのあたりは「鵜殿村」(うどのむら)という独立した自治体でした。広さが 2.88 km2 しか無い、日本一小さな村だったそうですが、紀州製紙の工場があるために財政は豊かだったみたいですね(鳥取の日吉津村(ひえづそん)みたいなものですね)。列車はゆるやかにカーブしながら速度を落とし、鵜殿駅に到着しました。
……。進行方向左側に座ったのは間違いだったかも知れませんね。ちなみに奥のほうに見える矢印は、
津波の際の避難経路も示していました。矢印は明らかに海の方に向かっていますが、果たしてこれで良かったのでしょうか。
河口も塞ぐ七里御浜
鵜殿駅を出発すると、列車は熊野灘の海沿いをゆっくりと北上し始めました。鵜殿から熊野までの海岸線は「七里御浜」(しちりみはま)という名前の浜が続いていて、アカウミガメが産卵のために上陸する場所もあるのだとか。車窓右手に(結局移動したらしい)こんな景色が見えてきました。道路があって、川があって、その向こうに七里御浜があるのですが、川が海と並行してしまっているということは、沿岸流がなかなかパワフルだということになりますね。
地図で見るとちょうどこのあたりだと思うのですが、沿岸流が強すぎるのか、尾呂志川の河口が七里御浜によって塞がれてしまっています。もちろん地下でつながっているのでしょうが、このあたりの川は、軒並み七里御浜に上を覆われてしまっているのが面白いですね。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
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