ウイーヌプリ
燃えている・山
此辺まで岸の上少しヅヽ平地有れども、是より先は皆崖に成りて平地なく、其上を
ウイノホリ
と云。是則遠方より見てシレトコノホリと云ものなり。山皆雑木也。東に当る処、峨々たる岩一ツ聳え立たり。本名ヲフイ岳のよし。判官様軍勢をよせるしらせの為に火をつけて焼玉ひしと云也。
uhuy と言えば、増毛と浜益の間に「雄冬岬」という難所がありますが、雄冬岬の場合は「火山」ではなく、赤い岩が燃えているように見えるから uhuy なのだ、という説があったかと思います。ウイーヌプリの北側に「アカイワ川」あるいは「赤岩」という地名が見られるので、あるいはウイーヌプリも「赤岩が露わになっていた山」だったのかも知れません。さて、どちらが正解なんでしょうね……?
遠音別岳(おんねべつ──)
長じた・川
この山の名前自体は斜里側の「オンネベツ(川)」に由来するのだと思います。onne-pet は「長じた・川」でしょうか。確かにこのあたりの川の中では大きいほうです。
山田秀三さんは「北海道の地名」で次のように記しています。
遠音別 おんねべつ
遠音別川はこの辺では大きい川である。まあまあオンネ・ペッ(大きい・川)と解したい。ただしオンネは元来は「老いたる」の意。知里さんは地名ではポロとともに「親」と訳して来た。
海別岳(うなべつ──)
灰(・の入った)・川
というわけで海別岳です(キリッ)。永田地名解には、「海別」の解として次のように記してあります。
Una pet ウナ ペッ 灰川 古へ噴火セシトキ全川灰ヲ以テ埋メタリシガ今ハ灰ナシふむふむ。また過去の火山活動を想起させる解が出てきましたね。「──今ハ灰ナシ」のくだりは知里さんが「──予め証拠を隠滅しておくのである」と書いていた手法そのままなのが笑えます。
なお、知里さんの「斜里郡内アイヌ語地名解」には次のようにあります。
ウナペッ 海別川。「ウナ・ペッ」(una-pet 灰・川)。昔噴火した時全川灰で埋つたという。「ウナ・オ・ペッ」(una-o-pet 灰の・入つた・川)とも云う。
というわけで、「海別」は una(-o)-pet で「灰(・の入った)・川」と解釈しておくのが良さそうですね。
www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International
0 件のコメント:
コメントを投稿