幣舞(ぬさまい)
(典拠あり、類型あり)
釧路川にかかる「幣舞橋」が有名ですね。今回は久しぶりに?「角川──」(略──)から。釧路地方中部,旧釧路川下流左岸の段丘縁部。地名は,アイヌ語のヌサオマイの略語といわれ,原義は「ヌサ(木幣)の抱かれてある所」の意。地名にまつわる伝説として,「上流から流れてきた幣が,川縁の崖にひっかかっていた。見ると先祖の家紋が印されている。アイヌ達は喜んで斎場を祀り,以後神聖な場所としてあがめた」という話がある(幣舞の語源について/佐藤直太郎郷土研究論文集)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.1115 より引用)
ふむふむ。「木弊」を意味する inaw という単語がありますが、ここはそのまま nusa として出てきますね。nusa でも「木弊」を意味する場合もあるようですが、「祭壇」と解する場合もあるようです。よって nusa-oma-i で「祭壇・そこにある・所」と解釈できそうですね。大楽毛(おたのしけ)
(典拠あり、類型あり)
釧路市西部の地名。何とも楽しい地名です。由来は ota-noske なのですが、とりあえず山田秀三さんの「北海道の地名」を見ておきましょう。釧路市西端の地名,川名。釧路から西の白糠地域にかけては砂浜の続きで,ここはその中ほどのところなのでオタ・ノㇱケ(ota-noshke 砂浜の・中央)と呼ばれた。同名が道内各所にあったのであるが,多くは浜中とか中浜とかの名に変わっている。だがここだけは巧い当て字をして原名を残した。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.277 より引用)
いやはや、まったくです。元となったアイヌ語地名は「浜中町」と全く同じく ota-noske で「砂浜・真ん中」だったのですが、このあたりの地名を「考えた」人は原音保存主義?を徹底していたのか、何とも楽しい「当て字」を現代まで残してくれたのでした。恋問(こいとい)
(典拠あり、類型あり)
白糠町東端、釧路市との境のあたりの地名です。今回は「角川──」(略──)から。釧路地方西部,太平洋沿岸のコイトイ川流域。川沿いに湿地が広がる。地名は,アイヌ語のコイトイエ(浪潰,東風の強いとき波が打越す所の意)に由来する(白糠町史)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.527 より引用)
はい。koy-tuye で「波・潰す」といった意味ですね。波が砂浜を侵食する、といったニュアンスでしょうか。実は koy-tuye も道内各所にあり、稚内近郊の「声問」や苫小牧近郊の「小糸魚」(小糸井)も由来は同じなのだとか。www.bojan.net
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