風蓮湖(ふうれんこ)
(典拠あり、類型あり)
根室湾の西側に位置する汽水湖です。サロマ湖や能取(のとろ)湖と同じ構造で、沿岸流によって形成された砂州が海を塞いで出来た湖、です。では、名前の由来について「角川──」(略──)を見てみましょう。
古くは単にト(湖)と呼ばれていたが,松浦武四郎「廻浦日記」ではフウレン湖,「入北記」には「此所モ鮭ノ漁アリテ沼ノ傍ラヲ点々漁小家アリ,沼名フウレントウト云フ」とみえる。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.1274 より引用)
ということで、割と古くから「フウレン湖」だったみたいです(答になってない)。……えー、風蓮湖には、別当賀川、厚床川、風蓮川、ヤウシュベツ川、ポンヤウシュベツ川などが注いでいるのですが、その中の「風蓮川」の名前が湖の名前として借用された……といった感じでしょうか。「風蓮川」の由来は hure-pet で「赤い・川」という意味です。湿原ならではの赤い「やち水」が目立つ川だったのでしょうね。
春国岱(しゅんくにたい)
(典拠あり、類型あり)
風蓮湖を形成する砂州のうち、根室寄りの「島」の名前です。風蓮湖は春国岱の南北で根室湾と繋がっていて、南側は「東梅」、北側は「遠太」という地名です。山田秀三さんの「北海道の地名」を見てみましょうか。
根室市内の地名。立派な名であるが,風蓮湖の東南端、島になっている処の名。余り人っ気もない土地である。シュンク・ニタイ(shunku-nitai 蝦夷松・林)の意。巧い当て字をしたものである。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.240 より引用)
はい。というわけで sunku-nitai で「蝦夷松・林」で間違いありません。「東梅」は以前にご紹介した通り to-paye で「沼・行く」という意味で、「遠太」は to-putu で「沼・口」という意味です。漢字で解釈すると意味不明だけど、アイヌ語にしてみたらそのまんま……という典型ですね。温根沼(おんねとー)
(典拠あり、類型あり)
根室市の南西に位置する、かなり大きな「沼」です。onne-to で「長じている・沼」という意味です(この場合の「長じている」は「大きい」と解釈できます)。この地名の面白いところは、onne の音に「温根」の字を充てたのに対して、to には「沼」という意味を表す字を充てて、さらには「沼」を「トー」と読ませてしまっている点にありますね。「沼」を「トー」と読ませるのは「尾岱沼」という例もありますが、本来はおかしい……ですよね。
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