列車は左へ左へ
カンチャナブリー駅を出発すると、線路は大きく左にカーブを描き、「クウェー河橋梁駅」に向かいます。
……改めて見てみれば、出発する時は前から 3~4 両目に乗っていた筈なので、あきらかに客車の数が増えていますね。なんで気づかなかったのだろう……。
左へ曲がるとクウェー河橋梁駅
列車はハイウェイを横切り、さらにカーブを描きながら……
約 5 分で、「クウェー河橋梁駅」に到着です。
サル、ゴリラチンパンジー♪
「クウェー河橋梁」は、日本では「クワイ河橋梁」という名前で広く知られています。この実在する橋は、映画「戦場にかける橋」のモデルとなったことで有名です。もっとも、映画の中に出てくる橋は「木橋」ですが、クウェー河橋梁は「泰緬連接鉄道」では数少ない鉄橋でした。「泰緬連接鉄道」では、工期短縮と金属類を節約するために殆どの橋が木橋で建設されましたが、クウェー・ヤイ河の奔流にさらされることが見込まれたこの場所に限っては「鉄橋」を建設することにしたのだとか。こういった特殊性もあり、日本軍はこの橋を「メクロン河永久橋」と呼んでいたようです。「永久橋」というのも変な呼称ですが、どうやら上流に木製の「仮橋」があったことからの命名だったのかも知れません。
「戦場にかける橋」は 1957 年の映画ですから、「見たこと無いよ!」という方も多数いらっしゃるかと思います。ただ、それでも「クワイ河マーチ」のメロディラインは耳にしたことがある方が多いのでは無いでしょうか。「サル、ゴリラチンパンジー♪」という替え歌で有名なアレです(←
この炭水車の形は……
そんなわけで、特にカンチャナブリーから先の区間は「観光鉄道」としての色が濃くなる「泰緬鉄道」ですが、その中でももっとも有名なポイントが、この「クウェー河橋梁」です。その橋の西岸に位置するのが、クウェー河橋梁駅となります。観光客が多い駅だから……かどうかは不明ですが、きちんと草刈りも行われているようですね。後ろになにやら蒸気機関車のようなものも見えます。
おおっ、この斜めに切り落とされた形のテンダー(炭水車)は……!
そう、この小型の蒸気機関車は、軍の命令で日本各地から接収してタイに送られた、国鉄 C56 蒸気機関車です。京都にある「梅小路蒸気機関車館」には、多くの蒸気機関車の 1 号機が保存されているのですが、この C56 に限っては、最終機の「160 号機」が保存されています。幼心に「なんだか変だなー」と思っていたのですが、実は 1 号機から 90 号機までが連番でタイ・ビルマに送られたせいで、大半が現存しないのでした。
生き残った C56
タイに送られた C56 蒸気機関車のうち、日本への帰還を果たしたのは(私の知る限りでは)二台のみで、そのうちの一台が靖国神社の「遊就館」で静態保存されています(もう一台は大井川鐵道で動態保存)。この C56 31 は泰緬鉄道が全通した際に日章旗を掲げて連接点を通過した栄えある車両で、その後も戦中・戦後を通じて破壊されること無く日本に帰ってくることができたわけですが、改めて考えてみるとかなりの強運?の持ち主であるように思えてなりませんね……。
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