2011年6月21日火曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

北海道・東北の旅 2010/夏 (132) 「『東日本フェリー』の破綻とニッポンの未来」

 

「三航北国日誌」第 132 回です。本日は、ほんのちょっとだけ考えさせられる内容(どんなだ)でお送りします。

チーズさえ無い、それもまた人生

津軽海峡フェリー「ばあゆ」は、かもめと戯れながら一路、大間を目指します。振り返れば遙か遠く……でもないですが、函館山が見えます。
さて、再び船内をウロウロしてみましょう。ふと目に留まったのがこちらの階段です。
確か、上部甲板は立入禁止だった筈なのですが……。でも、人影も見えますね。登ってみましょう。
あ、やっぱ「立入禁止」でしたね(笑)。ちなみにこれらの丸い物体は、救命ボート……だったと思います。

(自家用)

ふと右舷の方向に目を凝らして見ると……
自家用クルーザー、でしょうか。中の人まで見えますね。船の多い海域ですから、衝突にはくれぐれも気をつけてください……。

実はかなりイケてる「ばあゆ」

船室に戻ってみると、「ばあゆ」の由来が記してありました。
人々に名声・子孫・財産・家畜をもたらす」って、これって相当イケてる神様のような……。是非ともご利益に預かりたいものです。

「東日本フェリー」の破綻とニッポンの未来

そして船内の案内も。
よーく見ると、カラーリングが「東日本フェリー」時代のものですね。「東日本フェリー」は函館 FT を改築したり、高速船「ナッチャン姉妹」を続けて建造するなど積極的な経営を行っていたのですが、それらが悉く裏目に出て資金繰りが悪化したか、全航路を運休する事態に陥ってしまいます。その後一部の航路は「道南自動車フェリー」に承継されて、「津軽海峡フェリー」に社名を変更して現在に至ります。

そういったわけで、もともと赤字体質の路線を引き継ぐことになってしまったわけですが、当然のことながら経営は厳しく、船内にはこんな掲示が。
拡大しても見づらいと思いますので、テキストに落としますね。


1.大間・函館航路の新造船就航までは、最大、平成24年度まで、現運航船「ばあゆ」で運航します。
2.平成22年9月1日~平成22年12月末日までの運航に関しましては現行通り、津軽海峡フェリー(株)が行うものとします。但し、平成22年の運航については上限 6,000 万円の大間町からの支援を条件とします。
3.平成23年以降の運航に関しましては、前もって大間町と協議の上,赤字が見込まれる場合などは支援策を検討して頂きます。
4.新造船に関しましては 1,500 トン・2,000 トン型のメリット・デメリットを比較検討し、必要であれば大間町議会への説明を行い、同航路における、最適船型の検討をしてまいります。
 今後の運航・新造船に関しましては、大間町との協議結果をもって発表させて頂きたく、宜しくお願い申し上げます。
以上

ちなみに、現在の「ばあゆ」は 1,500 トン型です。

ちょっとイヤな話をしますと、大間町には「電源開発」が「大間原発」を建設中なのですね。この原子力マネーがある限りは、定期航路を支援するお金の捻出もそれほど難しくないのではないか……と思ったりもします。ただ、もしこの原発が稼働に至らず放棄されるようなことになれば話は別で、定期航路の未来も怪しくなってくるような気もするのですね。

定期航路を維持するために原発を稼働させろ、と言っているわけではないので念のため。

もともと、こういった定期航路は公益性が高い(と思う)ものなので、少なくとも航路を維持できるだけの補助があってもいいんじゃないかなぁ……と思うのですが、いかがなものでしょうか。

前の記事続きを読む

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

新着記事