キウス(きうす)
(? = 典拠未確認、類型多数)
……ルビ要らないか(←)。はい、道東道の PA の名前ですね。どんな所かは 2010/12/29 の記事をご覧ください。ホントにトイレしか無いです(←その意味ですが、いつものネタ元をいくつか漁っても記載がありません。さすがにマイナーすぎるということなんでしょうか……(キウスには遺跡があって、そちらはそれなりに有名みたいですが)。おそらく、ki-us(-i) で「草・多くある処」といった意味だと思います。
似たような地名としては、浦臼町に「黄臼内」(きうすない)というものがあります。永田地名解によれば kina-us-nay が語源とのこと。ちなみに kina も ki も「草」という意味があります。永田地名解には他にも「Ki ushi」で「キーウシ」という地名も記録されていますね(意味は「茅野」だとのこと)。
はい、じゃ次行きましょう。
於兎牛山(おそうしやま?)
(? = 典拠未確認、類型多数)
すいません。情けないことに読みがわかりませんでした……。アイヌ語としては「オソウシ」なんですが、当てられた漢字は「オトウシ」と読めます。行政上の字の名としては「オソーウシ」というのもあります。……うううワケわからん……。とまぁ、現代における「読み」が詳らかではないのですが、その意味するところは明々白々でして……。はい、o-so-us-i で「河口に・滝・ある・もの」となります。実際に、夕張川に注ぎ込むところで滝を形成している(いた?)川があるそうなので、まず間違い無いと思います。
「オソウシ」は道内各所に点在しているのですが、例えば札幌の「精進川」なんかもその一つですね。
穂別(ほべつ)
(典拠あり、類型あり)
かつての「穂別町」(今は「むかわ町」)ですが、その由来は po-pet または pon-pet で「子である・川」といったところのようです。……おおっ、あっさりと終わった(←
富内(とみうち)
(? = 典拠あり、類型未確認)
富内は穂別の中心街から山ひとつ奥にありますが、穂別と違って書くことが沢山ありあそうです(←)。この「富内」は、元々は「辺富内」という地名でした。最初は何のことやら気がつかず「『へんとみうち』って何?」と思ったのですが、実はこれで「へとない」と読むのでした。久々に「角川──」(略しすぎ)から引用してみましょう。
地名は,旧名の辺富内は読みづらく,語呂も悪いということから辺をはずし,読みも変えた(続苫東地名物語)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.983 より引用)
ということなのだそうです。川・股・川?
さて、では「へとない」の意味は何か、ということなのですが……。これがまた意外と難しそうでして。まず山田秀三さんの卓見を伺いましょう。永田地名解は穂別川筋の初めに「ペトムナイ petom-nai。川股の沢。鵡川上流は大なる二股あり,その股に流れ入る沢なればこの名あり,辺富内村」とあるが,位置が分からない。東蝦夷日誌は穂別の方から上流に向かってハツタルセ,ニナツミ,ヘトントナイ(北小川),ウツカウシ(北川)と並べている。前後の川は分かるので,それから見ると,そのヘトンナイは,穂別駅から直線で 3・8 キロ,富内駅から 4・8 キロの処だったらしい。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.373 より引用)
ふむふむ、なるほど……。pet-om-nay で「川・股・沢」という解釈ですね。北海道のアイヌ語地名においては pet も nay も「川」と解して、その違いは明瞭ではないのですが、ここでは pet のほうが nay よりも大きいと考えているようですね。皮張枠のある川?
ただ、やはり「川・股・川」以外の説もあるようで、例えば「北海道駅名の起源」には、もと「辺富内(へとない)」といい、アイヌ語の「ケトナイ」、すなわち「ケッ・オ・ナイ」(獣皮をかわかす張りわくの多くある沢)の意であったが、昭和18年 8 月 1 日買収の際その下部をとって「富内」と改めたものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.98 より引用)
とあります。ket-un-nay で「皮張枠・のある・川」だと言うのですが、さてさて。www.bojan.net
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