支笏湖(しこつこ)
(典拠あり、類型あり)
話は長くなります(←)。えーと、支笏湖から千歳市内に向かって流れる「千歳川」という川がある(途中に王子製紙の水力発電所もあります)のですが、この川がもともと si-kot(シ・コッ)で「大きな・窪み」と呼ばれていました。より日本語として正確に訳するならば、「大きな・谷」でもいいかも知れません。で、その si-kot の源流だった湖のことを、sikot-to で「シコッ・湖」と呼んでいたのだとか。とまぁ、ここまでは「ふーん」と理解できる話です。
ただ、山田秀三さんの「北海道の地名」には、もっと濃い説明があります。
支笏湖 しこつこ
支笏湖のように大きい湖は,たぶんただトー(to 湖)と呼ばれていたのであろうが,ここではシコッ・トホ(shikot-toho 千歳川の・その湖)の名が残されていた。元来のシコッ(千歳川のこと,その川筋のこと)は千歳と改名されたのであったが,その音が支笏湖の形で残っていたのであった。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.56 より引用)
toho という語は手元の辞書ではわからなかったのですが、to-ho と分割すれば、「沼の・尻」となります。ただ、これだと山田さんの訳「その湖」とちょっと符合しないような気もします。TOHO シネマズだったら近所にあるんですが……(←「シコふんじゃった」の配給元は TOHO でした
更に濃い内容が続きます。なお,この湖名は更にていねいな形で,シコテㇺコトホ(shikot-emko-toho 千歳川の・水源の・その湖),あるいはもっと荘重にシコテㇺコ・エアン・パラト(shikot-emko-e-an-para-to 千歳川の・水源・そこに・ある・広い・湖)とも称えられたという。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.56 より引用)
emko は「半分」または「水源」という意味があるそうです。「シコッ」はいいとして、to と toho の違いが今ひとつわからないですねー。本木雅弘さんあたりに聞いてみましょうか(関係ない)。烏柵舞(うさくまい)
(典拠あり、類型あり)
これは初見では読めない地名かと思います。いや、鳧舞よりはマシですけど……。ふむふむ、旧い資料では「ヲサクマナイ」とあったわけですね。そこから o-sat-kuma-nay で「川尻に・『乾き・棒』・川」ではないか、と。ただ、これだと日本語に直しても変に感じるわけで、山田秀三さんも、もともとは o-sat-kuma-oma-nay だったのではないかと考えていたようです。
「シシャモナイ」では o が残ったけれど、ここでは oma は抜けてしまったのではないか、という話ですね。もっとも「ヲサクマナイ」から「ウサクマイ」であれば「ナ」も消えてしまったことになるので、山田秀三さんも o-sat-kuma-o-i で「川尻に・『乾き・棒』・多い・処」かも知れない、とも考えていたようです。より厳密には o-sat-kuma-o-i-nay になるのかも知れません。もはやワケがわかりませんね(←
ちなみに、kuma は魚や肉などを干すために使う物干し竿のようなもの、だそうです。「熊」との関係があるのか無いのか……。
蘭越(らんこし)
(典拠あり、類型あり)
濃い話題が続いたので、後はライトなネタを続けて。ranko-us-i で「桂・の群生する・所」だそうです。道内には他にも同名の「蘭越」がありますね。以上!(←千歳(ちとせ)
「北海道のアイヌ語地名 (1) 「千歳・由仁・早来」」をご覧ください(←www.bojan.net
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