2010年5月16日日曜日

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春の道央・道北の旅 2010 (9) 「『世界の民具』を展示していた筈が」

 

「世界の民具」を展示していた筈が

「世界の民具」が展示されているという 2 階に足を運んだところ……、最初にこんなものが目に止まりました。
「世界最大の淡水魚」だと言うのですが……。さてさて、どんなものでしょうか?
うわっ! ちなみに、「どうぞ、お手を触れてみてください!」と書いてあったので遠慮無く触らせてもらったのですが、なるほど、確かに「鮫肌」でした。目の粗いおろし金のような感じです。
アングルを変えてもう一枚(← 気に入ったらしい)。
となりにあるのも同種のようです。ただ、これは「鼻」というか「角」というか、奇矯な出っ張りが目立ちますね。なんだか鼻の下が伸びているようにも……(←

赫哲族とアイヌ

もちろん、淡水魚の剥製(だと思う)以外にも色々と展示されています。
アムール川流域の少数民族「赫哲族」(ホジェン族)あるいは「ナナイ」の暮らしを描いた作品も展示されています。「ナナイ」はアイヌと共通の文化を持つと言われている……のだそうです。

ナナイ (Nanai) は、ツングース系の民族。分布は主にアムール川(黒竜江)流域で、ロシア国内に約1万人で、中国国内にも居住している。2004年人口調査時の中国国内人口は約4640人。中国国内のナナイはホジェン族(Hezhen;赫哲、拼音:Hèzhé ホーチョ)と呼び、55の少数民族の一つとして認定されている。
(Wikipedia 日本語版「ナナイ」より引用)
なるほど。主に沿海州のあたりに分布する民族のようですね。

河川でのサケ・マス漁などの漁労が民族の特徴的な生業で、中国ではキャビア採取のためなどのチョウザメ漁も行う。シャーマニズムを信仰し、生活の一部が観光化されてもいる。
(Wikipedia 日本語版「ナナイ」より引用)
確かに、アイヌの人々と通じる部分が多そうです。
次のようなキャプションが添えられています。

●赫哲族は他の土地から来たお客を酒とご馳走で迎えます。※アイヌ社会では贅沢ではないにしても、食べ物を出すことは最高のもてなしを考えていました。

まぁ、これはどこの民族でも良くある慣習ですけどね。ほかにもっと適切な絵もあったのに、なんでこんなに写真が少ないんだろう……。反省しきりです。
いっぽう、こちらは「類似点」と言うよりは「相違点」かも知れないのですが、

●赫哲族はスキーを使って山や草原をじざいに滑り、猟をします。※北海道アイヌはスキーを使って猟をしたとは聞きませんが、私の父は樺太でスキーをはいて猟をしたそうです。

ということだそうです。「民具」としてのスキーの実用性に感心しました、といったところですね。

赫哲族とアイヌの風習の相似が示すこと

ともかく、アムール川流域に生活習慣に類似性を有する民族が暮らしていたということは、「アイヌは北方起源である」という作業仮説を組み立てる上でかなりの影響を持つように思います。もちろん「アイヌ・ナナイ兄弟説」、といった仮説を立てるのはあまりに乱暴なのですが、「弥生人」以降の日本人が朝鮮半島を介して大陸との接点を持ったのと同様に、アイヌは樺太・間宮海峡を経由して大陸との接点を持っていた、と考えるのも、それほど暴論であるとも思えません。

アイヌの世界には中央集権的な「国家」という思想が存在しなかったようなので、「遣隋使」や「遣唐使」のような国家間の公的な交流という物は皆無だったと考えられます。しかしながら、いわゆる「民間レベル」での交易は、規模の大小はさておき、それなりにあったのではないかな、と思ったりもします。

ただ、生物学における「収斂進化」のような例もあるので、たまたま似たような風土で暮らす民族が、たまたま似たような風習を有していた、という可能性もゼロでは無いんですけどね。

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