2009年4月29日水曜日

「蝦夷語地名解」に見る仁宇布の語源

そういえば、最近、書き出しに苦労することがなくなりました。Blog を書くのがようやくちょっとうまくなったのかな、なんて思ったりもしましたが、何のことはない、単に書き出しが唐突になっただけでした。:-)

今日なんて「仁宇布は」で始めようとしましたからね。

仁宇布は

仁宇布は、北海道中川郡美深町の集落で、「日本一の赤字線」としても知られた国鉄美幸線の終点だったところでした。どことなく「ニヴフ」と字面が似ている「仁宇布」ですが、その由来はと言うと……。

「蝦夷語地名解」に見る仁宇布の語源

はい。ということで、ここで永田方正先生の畢生の大作「蝦夷語地名解」にお出まし願いましょう~!
ちょっと見えにくいかも知れないので、トリミングしたものもおつけしましょう。
はい。仁宇布の意味は「?」ということがわかりました(←

ちなみに、「パンケ ニウ」と「ペンケ ニウ」がありますが、「パンケ」が「下流の」、「ペンケ」が「上流の」という意味になります。まぁ、これがわかったところで、肝心の「ニウ」の意味がわからないのではどーしよーもありません。

「地名アイヌ語小辞典」に見る仁宇布の語源

まぁ、所詮「永田地名解」も明治の書物です。アイヌ語の研究などろくすっぽ行われていなかった時代でしょうから仕方がないでしょう。

というわけで、今日も知里真志保先生の「地名アイヌ語小辞典」を見てみます。

まず、

ni-pu にプ 【ビホロ】森中の川端に立てて冷凍鮭を貯えておく倉。[林・倉]
(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」北海道出版企画センターより引用)
というのが見つかりました。しかしこれでは「にぷ」あるいは「にーぷ」となるのが精一杯で、「にうぷ」に持って行くのは少々厳しそうです。

じゃ、ちょと自分で考えてみますか

となると、複数の単語を組み合わせるしかありません。仮に ni-un-pu だとすると、「木(林・森)-そこにある-倉」つまり「森にある倉」となります。

あるいは ni-up だとすると、「木(林・森)-トドマツ」となります。この語順で「トドマツの森」という解釈が成り立つのかは、アイヌ語の文法には全く明るくない私には判断できないですが……。

ちなみに、仁宇布の中心部を流れる川は「ペンケニウップ川」とされています。「ニウップ」が「ニウプ」から転じたのだとすると、「森にある倉」説が少しだけ妥当なように思えてきます。

あー、でも「地名解」には niup と書いてあるしなぁ。「トドマツの森」という意味が文法的に正しいなら、こっちが本命かも。

あ、そうそう。やはりと言うか、「ニヴフ」とは全然関係なさそうです。(←

仁宇布の現在

なお、現在の仁宇布には、倉……はともかく、スバルのテストコースがあるそうです。

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